★ 未来へつながる仕事さがし ★

名著「ワークシフト」紙芝居⑧未来に必要な3種類の人的ネットワーク

⑩あなたの未来 ・ 2025年を生きる
この記事は約14分で読めます。

【 運営者から皆さんへ 】
2025年の未来社会を予測した名著「ワークシフト」を紙しばい形式でまとめました。

PDFをダウンロードして、サクサクと読み進めていけば、未来が見えるはずです。
あなたが、今からどんな準備をするべきか、それも分かるはずです。
「あと5年ある」か、「たった5年しかない」か
・・・どう感じるかは、あなた次第です。

by まるきん

第4部 働き方を<シフト>する

 【 第9章 第二のシフト 】

Download (PDF, 917KB)

未来に必要となる三種類の人的ネットワーク

未来の世界の素晴らしい点の一つは、人間関係資本を築く方法が飛躍的に拡大することだ。

50億人がインターネットを通じて結びつき、しかもいっそう主体的に
オンライン上のコミュニティに参加する時代が訪れて、可能性は無限に広がる

問題はオンライン上のサービスに振り回されず、バーチャル化につきものの孤独に陥らないために、
どうすればいいのかだ。

世界中の人々が結びつく時代の恩恵に最大限浴するためには、
協力とネットワークとイノベーションについて、根本から発想を<シフト>させる必要がある。

なぜ、そういう必要があるのか、理由は明快だ。

あなたが気づいた専門的な能力やノウハウ、人脈は価値あるものだが、それだけでは十分ではない
グローバル化が進展し、世界中の人々が結びつく時代には、イノベーションと創造性がきわめて重要になるが、
真のイノベーションと創造を成し遂げようと思えば、大勢の人たちの能力とノウハウ、
人脈を統合することが不可欠なのだ。

世界中の人々がインターネットを通じて結びつき、大規模なコミュニティを形づくって、
見聞きしたことを教えあい、お互いに相談に乗り、関心を共有するようになる。

関心テーマごとに世界規模のコミュニティが形成される。

そうした巨大なオンラインコミュニティは、
未来の世界で重要性を増す「ビッグアイデア・クラウド」(大きなアイデアの源となる群衆)の土台になる。
しかし、ビッグアイデア・クラウドだけでは不十分だ。

未来の世界では、広く浅い知識を持っているだけでは価値を生み出せなくなり、
知識の深さが求められるようになる。
孤立した状態で、そういう高度な専門知識が身につくことは考えづらい。
アドバイスと支援を与えてくれる比較的少人数のブレーン集団が不可欠だ。
それが本書で言う「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」である。

未来の世界であなたが形づくるポッセは、比較的少人数の信頼できるメンバーで構成される。
15人を上回ることはまずないだろう。
もしピンチに立たされれば、いつでも力になってくれると当てにできる仲間たちだ。
その中には、長年の友人もいれば、職場の同僚もいるだろうし、
頻繁に顔を合わせる人もいれば、遠い国に住んでいる人もいるだろう。

ポッセに関して重要な点は次の三つだ。

  • ポッセは比較的少人数のグループで声をかければ
    すぐ力になってくれる面々の集まりでなくてはならない。
    また、メンバーの専門技能や知識がある程度重なり合っている必要がある。
    専門分野が近ければ、お互いの能力を十分に評価できるし、仲間の能力を生かしやすい。
  • ポッセのメンバーは以前一緒に仕事をしたことがあり、
    あなたのことを信頼している人たちでなくてはならない。
    知り合ったばかりの人ではなく、あなたのことが好きで、
    あなたの力になりたいと思ってくれる人であることが重要だ。
  • 充実したポッセを築きたければ、ほかの人と協力する技能に磨きをかけなくてはならない。
    他人に上手にものを教え、多様性の強みを最大限生かし、
    たとえバーチャルな付き合いでもうまくコミュニケーションを取る技能が不可欠だ。

ポッセのメンバーが素早く助けに駆けつけられるのは、
あなたがどういう課題を抱えているかをたちどころに理解でき、
しかもいつでも力を貸せる状態になるからだ。

ポッセに必要なのは、すぐに召集できることと、みんなが同じレベルのスピードと技量で活動できること。
専門分野が近く、能力のレベルも近いからこそ、短い時間で高いレベルの仕事をやり遂げられるのだ。

しかし、こうした強みは弱みと表裏一体でもある。

ポッセの面々は、みんながあらゆる問題には同じやり方で取り組む傾向がある。
ポッセは一つの方向にしか進めないのだ。
専門分野や考え方が自分と似ていて、自分にとって信頼できて、
いつも一定の思考・行動パターンを取る人たちを集めればどうしてもそうなる。

もし、あなたが解決しなくてはならない課題が大がかりで、複雑に入り組んでいて、
イノベーションを必要とするのであれば、ポッセは頼りにならない。

必要なのは、スケールが大きくて斬新なアイデアだ。
そういうアイデアの源になりうるのは、多様性に富んでいて大規模なコミュニティ
—-すなわちビッグアイデア・クラウドである。

ビッグアイデア・クラウドの重要な特徴としては、以下の点を挙げられる。

  • ビッグアイデア・クラウドは、自分の人的ネットワークの外縁部にいる人たち
    構成されなくてはならない。友達の友達がそれに該当する場合が多い。
    自分とは違うタイプの人間とつながりを持つことが重要だ。
  • ビッグアイデア・クラウドは、メンバーの数が多いほうがいい。
    ポッセは最低3人いれば成り立つが、ビッグアイデア・クラウドは
    何百人ものメンバーで構成される場合もありえる。

ここまでの議論を整理すると、ポッセを機能させるために重要な条件は二つある。

一つはお互いに役に立てる可能性があるメンバーの集まりであること
(そのためには、メンバーの専門分野がある程度重なり合っている必要がある)。

もう一つは、お互いに信頼し合い、お互いを助けたいと思い、
お互いのために時間を割くつもりがあるメンバーの集まりであることだ。

ポッセの面々は、長い経験を通じて様々な暗黙知(勘や直感、個人的洞察、ノウハウ)を蓄えている。
それは、仕事の手間を省く方法だったり、問題の解決策を素早く見出す発想法だったりする。
この類の深い知識は、言語化されて記録されることがほとんどなく、簡単には伝授できない。
ウィキペディアは、ポッセの代わりになりえないのだ。

ポッセを築くことは、単なる人脈作りとはまるで違う。

普通の人脈を作るのであれば、大勢の人と関わろうとすればいいが、
そういうやり方は、ビッグアイデア・クラウドを築く際はともかく、ポッセを形成する役には立たない。
ポッセの土台をなすのは、アイデアと知識を深く共有すること。
そういう関係は、相手の言葉に耳を傾け、相手から学ぶ姿勢、
そして、自分と考え方が近く、力になってくれそうな人をひきつける能力があってはじめて確立できる。

人を引きつける

旧来の人脈づくりは、「プッシュ」のプロセスに終始する。

自分の役に立ちそうな人を見つけ出し、どうにかしてその人とお近づきになろうとする
こちらから強く働きかけるという意味で「プッシュ」という表現がふさわしい。

しかしこの方法は、ポッセを築く場合にはうまくいかない。
ポッセは、メンバーがお互いに引きつけられ合うことによって形成されるケースが多い。
ポッセを築くためには、共通の知識と関心を通じて、
自分のポッセのメンバーになりうる人を引きつけることが効果的なのだ。

ひとことで言えば、ポッセのメンバーを引きつけるには、
まず自分が積極的に「発信」しなくてはならない。
その際、自分が何を成し遂げたかだけでなく、どういう難題にぶつかっているかまで語ることが重要だ。
あなたがなにに関心があり、どういう課題を抱えているかを語って
初めてほかの人たちはどうすれあなたと共同行動を取れるかがわかる。

ビッグアイデア・クラウドを築く

ここで質問。

人々は新しい仕事を見つけるとき、よく知っている人から紹介される場合が多いのか?

それとも、あまり深い付き合いでない人から紹介される場合が多いのか?

もう一つ質問。

あるコンピュータメーカーの今後半年間の売り上げを正確に予測できるのは、その会社の営業部長だろうか?

それとも、不特定多数の大勢の人たち(ほとんどはそのコンピュータメーカーの社員ではない)の
「群衆の知恵」だろうか?

二つの問いに対する答えがいずれも後者だった人は、
大規模で緩やかなネットワークの力を理解しているといえる。

テクノロジーの進化とグローバル化の進展にともない、この種のネットワークの重要性はいっそう高まる。
職探しに関しては、アメリカの社会学者マークグラノヴェッターの研究が有名だ。

事前の予想では、友達や家族、親戚、仲のいい同僚など、
特に親しい人たち—「ストロングタイズ(強い絆)」と呼ばれる—
を通じて転職先を見つけるケースが多いだろうと考えられていた。

しかし実際に調べてみると、とりわけ親しい人より、友達の友達や、
単なる知り合い—「ウイークタイズ(弱い絆)」と呼ばれる—
から情報を得るケースが多いことがわかった。

「弱い絆」と題して発表されたグラノヴェッターの論文では、
情報の伝播と人的ネットワークに関する常識を書き換えた。

転職先を見つける上では、自分ととりわけ親しい人が役に立つとは限らないし、
地位や権限がある人が役に立つとも限らない。

転職を成功させるために重要なのは、いろいろなタイプの人を知っていて、
いろいろなタイプの情報を得ることだ。
自分と同じ世界に生きている友人や同僚とばかり接していては、自分の知らない情報はほとんど入ってこない

この研究が明らかにしたのは、大規模で緩やかな人的ネットワークを持っているほうが、
多くの情報を入手できる可能性が高いということだ。
しかも、人的ネットワークを構成する顔ぶれの多様性が大きいほど、幅広い情報が得られる。

近年は、ソーシャルメディアが登場してウイークタイズの力を利用しやすくなり、
「ビッグアイデア・クラウド」の価値がますます高まっている。

この項の冒頭で掲げた第二の問いに話題を移そう。

アメリカの複雑系研究者スコットペイジが売り上げ予測の精度を比較したところ、
個人の予測より、不特定多数の人たちの予測のほうが概して正確だった。

個人がきわめて高度な知識の持ち主の場合も結果は同様で、
集団のメンバーが多数名ほど、予測の精度が高かった。
こうした傾向は、予測の対象が複雑な現象の場合にことのほか顕著だった。

普段あまり行かない道を歩く

大規模で多様なネットワークを築こうと思えば、日常の世界の外で活動するために
時間とエネルギーを割くことが欠かせない。
たとえば、自分が普段はやらないような活動をするクラブに参加したり、
専門外の分野のセミナーを受講したり、
ほかの部署やよその会社の会議に飛び入りで参加したりしてもいいだろう。

いずれにせよ、新しい場所に出かけ、新しい人と知り合うことが大切だ。

たまには、いつもと違う「コミュニティ・オブ・プラクティス(学びあいの共同体)」に身をおくといい。
普段と違う道を通って通勤したり、
オフィスの中を移動するときに通るルートを変えたりするだけでも効果がある。
ある研究によると、たまたまどこかを通りがかったとか、
たまたま誰かとばったり会ったといった偶然の要因により、新しい人脈が生まれる場合もある。

「プル」の戦略も実践する

意識的に普段と違う場に身をおいたり、自分と違うタイプのグループに適応して
仲間に加えてもらったりすることは、ビッグアイデア・クラウドを築く上で重要な戦略だ。

しかし、そうした「プッシュ」の戦略に加えて、「プル」の戦略も実践できたほうがいい。

自分の魅力を高めて、ほかの人たちがあなたのグループに自分を適応させたり、
あなたと偶然出くわすことを期待したりするよう促すことも目指すべきだ。
この点は、ポッセのメンバーを集めるうえで鍵を握る要素だが、
ビッグアイデア・クラウドを形成する際にも重要な要素となる。

自己再生のコミュニティを築く

未来の世界では、いつも慌しく時間に追われ、孤独を感じることが多くなる。
メガシティ(巨大都市)のアパートで独りぼっちで過ごし、
バーチャル空間を通じて国境を越えて仕事をし、家族と遠く離れて暮らす人が増え、
働き方の未来はきわめて暗い色彩を帯びる可能性がある。

昔は、支えと安らぎの源となる「自己再生のコミュニティ」のことをわざわざ考える必要などなかった。

放っておいても、家族と地域社会がその役割を果たしていた。
しかし、未来の世界ではそれを当てにできなくなる。
そういうコミュニティを意識的に見つけ出したり、作り出したりしなくてはならなくなるのだ。

ポッセとビッグアイデア・クラウドはバーチャル空間でも機能するが、
自己再生のコミュニティは、バーチャル空間では成り立たない。
現実世界の人間関係である必要があるのだ。
そこで、自己再生のコミュニティを築く上では、場所が重要な意味を持つ。

住む土地を選ぶ

今後、住む場所の選択肢が広がるということは、裏を返せば、
どこに住むかをこれまでより慎重に選択する必要がでてくることを意味する。

未来の世界では、仕事の世界のバーチャル化が進むのにともない、
現実世界での物理的な接触や関わりの重要性が増すが、
全ての土地がそういう人間的接触に適しているわけではない

自己再生のコミュニティは、人々が出会いやすく、会話を交わしやすく、
孤独な自動車移動より徒歩移動が主流で、友人同士が近くに暮らしていたり、
住居をシェアして共同生活していたりする土地に形づくられると、私には思える。

一方、リチャードフロリダのように、
どういう土地で質の高い生活を送りやすいのかを調べている研究者もいる。

フロリダの研究で明らかになったのは、ほかの土地に比べて、
住む人が幸福になれて活力を得やすい土地があるということだ。

そういう土地とそうでない土地の違いは、どこにあるのか。

フロリダは、例えば以下のような条件に着目した。

第一は、知的興奮を味わえ、創造性が刺激されること。
公園や公共のスペース、文化行事などは、創造的なエネルギーを生み出し、人々に幸福感と活力を与える。
美しいものが果たす役割も大きい。

第二は、自分らしく生き、自分を自由に表現し、自分の個性をはぐぐめること。
自分の出身地を遠くはなれ、故郷のコミュニティの社会規範や習慣の外で生きる人が増えるにつれて
「自分らしさ」を感じられることがますます重要になる。

そうした自己表現は、人と人との違いに寛容で自由な雰囲気の土地ほど実現しやすい。

第三は、ほかの人と知り合い、友達になりやすいこと。
たとえば、自動車で移動するより徒歩で移動することが多い土地で、
オープンエアのカフェがたくさんある土地では、人と人との出会いが後押しされる。

第四は、地元に誇りをいだきやすいこと。

たとえば、地元のスポーツチームが活躍していたり、偉大なことを成し遂げた住民がいたり、
景色が美しかったりすれば、私たちは自分の住んでいる土地を誇らしく思える。

未来の世界では、旧来の標準的な家族のあり方が急速に崩れ、
これまでより多様な生き方が受け入れられるようになる。
そういう時代には、どのように自己再生のコミュニティを築くかも個人の選択によって決まる。

家族以外の人と共同生活を送ることを選ぶ人もいれば、
昔のような大家族で暮らすことを選ぶ人もいるだろうし、
友達と密接に結びついて生きることを選ぶ人もいるだろう。

しかし、すべての場合に共通するのは、親密で前向きな友人関係が重要な役割を担うことだ。

仕事を選ぶ

テクノロジーが進化してバーチャル空間が拡大し、大企業や政府に対する信頼が弱まり、
人と人との距離が遠くなる未来には、友達との関係を意識的に築かなくてはならない。

本来、人間は極めて社交的な動物であり、協力し共感する性質を備えている。
いつも支え合い、愛し合える人たちに囲まれて生きたいと考える。

そういう強い絆にふさわしい場は、なんと言っても家庭だ。
これまで私たちは、過去と未来を共有する人たちである家族に支えられるのが最も自然だった。

しかし、本書で繰り返し述べてきたように、家族のあり方が変化し、
家族が遠く離れてクラスケースが増え始めている。

家族が支えあわなくなるというつもりはない。
ソーシャルメディアやテレビ会議システムを活用すれば、

直接対面するのと変わらないくらい密度の濃い関係を築けるかもしれない。
それでも、家族の関係がバーチャルなものに変わっていくことは避けられない。

では、自分のことを理解し、自分を支えてくれる人たちとの
親密な人間関係は、どこに見出せばいいのか。

配偶者などのパートナーとの関係がその役割を担う可能性はあるだろうが、それだけでは十分でない。
いつも時間に追われ、大量の情報にさらされ、人と人との物理的距離が遠くなる時代には、
ポッセとは別に、強固な友人関係を築くことがますます重要になる。

昔は仕事とプライベートを明確に区別することが妥当だったかもしれないが、
最近は両者の境界線がぼやけはじめている。
私の研究によれば、仕事と私生活が相互に影響を及ぼしあう結果、
友人やパートナーとの幸せな関係が仕事の活力源になる場合がある半面、
私生活で孤独を味わい、不安にさいなまれていると、仕事に悪影響が及ぶおそれがある。

強固で充実した友人関係を築ければ、私生活で喜びを味わえるだけでなく、
仕事の世界でも活力が増し、打たれ強くなる。

これからやって来るのは、矛盾に満ちた時代だ。

テクノロジーの進化とグローバル化の進展により人と人の結びつきが強まる半面、
私たちは今以上に時間に追われ、孤独を味わうようになる。

そういう時代に意義を見出せる職業生活を送るためには、
この矛盾を回避する方法を見つけなくてはならない。

昔は人間関係や人的ネットワークが自然に形成されるのに任せておけば十分だったが、
今後は、それでは十分でなくなる。

未来の世界の多くの側面がそうであるように、意識的・主体的な選択と行動が不可欠になる。

関心分野を共有する少人数のブレーン集団である「ポッセ」
多様なアイデアの源となる「ビッグアイデア・クラウド」
そして、安らぎと活力を与えてくれる現実世界の友人などで構成される
「自己再生のコミュニティ」を築くために、意識的に努力しなくてはならない。

 

<つづく>

0
タイトルとURLをコピーしました