中小企業で働くメリット・やりがい・面白さ(大企業とのリアル比較)
皆さん、こんにちは。
さて、本日は中小・ベンチャー企業について書きます。
たまたまですが、私は過去に、上場企業に勤務した経験があります。
その一方で、社員数20名以下の中小・ベンチャー企業でも、働いたことがあります。
どちらも、1回じゃなく、複数回の勤務経験です。(笑)
そんな、転職回数が多い私が、よく聞かれること。
「大企業と中小・ベンチャー企業の違いって、どこですか?」という、
ざっくりとした聞き方をされるケースがあります。
その時は、相手の質問の仕方によって、答えを変えます。
「大企業の方が、ダイナミックな仕事ができます」・・・とか
「中小企業の方が、現場で鍛えられる機会が多いです」・・・とか
毎回、相手の質問意図や立場によって、答えを使い分けています。
なぜ、質問者によって、私が答えを変えるかというと、
単純に比較することが出来ないからです。
私の中では、大企業と中小・ベンチャー企業の「線引き」がありません。
これから書いていく内容は、あくまで私の個人的な感想です。
大学卒業してからの約30年間、大企業、中小企業で働いてきた
私自身の実体験を基に、話を進めたいと思います。
大企業、中小ベンチャー企業のどちらか一方しか
働いたことが無いという方に、参考にして頂けたらと思います。
中小企業が大企業と比べて負けているところ
さて、私は人材紹介コンサルタントですので、
主に人材の部分をメインに、内側と外側から、両者を比較していきたいと思います。
中小企業で働くデメリット=大企業と比べて劣っている部分をあげます。
●中小企業が大企業と比べて劣っているところ
*給与水準や賞与面で劣る
*社会的知名度が低い(信用力も含む)
*人数が少ないために人手不足に陥りがち
*社員個人の業務負担が大きい
*募集を行っても応募が少なく採用に苦戦する
中小・ベンチャーの弱点①「ワークライフバランスがない」
中小企業なので、それほど余裕はありません。
「自分が出社しなくても、業務に支障がない」という状況は、
「自分がいなくなっても、誰も困らない」
「自分自身の存在価値が、やや希薄」ということを意味します。
中小・ベンチャーの弱点②「ノウハウや情報共有という概念が薄い」
中小企業では、会社独自のノウハウや、
情報共有について、まったく取組みがなされていない場合があります。
例えば、自分のPCと、会社全体の共有ネットワークがつながっているものの、
実際にアクセスした先の、共有フォルダ内は未整備だったりします。
個人フォルダや部署フォルダの運用ルールがない場合もあります。
それに加えて「ファイル名のつけ方の共通ルール」もない場合があります。
「2020.10.02まるきん顧客リスト.xlsx」といった、
日付、名前、拡張子の並びにするといった、社内ルールもありません。
これ以外にも、たくさんあります。
●業務マニュアルがないのも、普通です。
●数年前の契約書がない場合も、普通にあります。
●組織図や経営理念がない会社も、普通にあります。
大企業で働かれている方からすると、ありえないようなことが、
日常的に起こっている、それが中小・ベンチャー企業です。
中小・ベンチャーの弱点③「教育体制が不十分な場合が多い」
このような未整備な環境であなたが成長し、成果を上げるためには、
独学で勉強したり、ノウハウを盗むしかありません。
先ほども触れましたが、
大企業であれば、教育研修体制が整備されていたり、社外研修の機会もあります。
しかし、それを中小・ベンチャー企業に望むのはナンセンスなので、
ひたすら「自力で頑張る」という覚悟で、臨んだ方が良いと思います。
私はこれまで、人材紹介コンサルタントとして、
多くの中小製造業の現場を訪問しました。
そこでは企業規模が小さくなるほど
「職人気質の頑固オヤジ」が幅をきかせています。
職人である彼らは「腕を磨きたいなら自分で盗め」という考え方です。
さらに「オレが若い頃は先輩の仕事を見て覚えたもんだよ」という昭和職人タイプです。
ただ、残念なことに、この昭和職人タイプは、
最も職を奪われる立場にあります。
もっと労働賃金の安い外国人労働者や、
ロボットの導入による自動化の影響で、徐々に仕事が失われています。
多くの頑固職人は、自分の技術を他人に教えないので、
若い人から敬遠されがちです。
よくあるパターンとして、その職場の中で、
最も若い社員の年齢が、すでに40代後半だったりします。
・・・完全な高齢化です。
そういう職場は、これからさらに高齢化が進みます。
50代が主力、60代、70代も現役です。
全国には、老齢化と時代の流れに乗り遅れて、
このような年寄りだけで、なんとか成り立っている会社が、山のようにあります。
本当は、もっと危機感を感じて、若手社員を採用し、
早めに育成に取り組むべきでしたが、これからの回復は難しいと思います。
(きつい言い方でごめんなさい)
中小・ベンチャー企業は「カオス=混沌とした世界」
・・・本題に戻します。
そもそもですが、中小・ベンチャー企業には
人材に対する明確な戦略がありません。
足りなくなったら経験者を補充する・・・が基本です。
業界はちがっても、基本パターンは同じだと思います。
人材に対する考え方ひとつを取っても、
両者には、大きな違いがあると分かって頂けたと思います。
中小・ベンチャー企業は、
給与待遇、知名度、信用力、事業の安定性など
外側の見栄えだけじゃなく、
内部の情報共有や、人材活用の面においても、未整備だったりします。
逆を言えば、そういった一つ一つの課題を克服して、
自分個人の成長とともに、中小企業を成長させていくことが好きな人には、
山ほど仕事がある、最高の環境だと思います。
つまり、社内の労働環境について、
「最初から無くて当たり前」だと思っている人には、問題ありませんが、
「揃っていないのはおかしい」と考える人には、ストレスになると思います。
後者のタイプにとって、中小・ベンチャー企業は、
まだ開墾されていない、荒れ果てた大地に見えるかもしれません。
またそれは、
「カオス=混沌とした世界」だと思います。
中小・ベンチャー企業で働くメリットと面白さ
さて、ここからが本日のメインイベントです。
大企業と比較して、負けてばかりの中小企業。
そんな中小企業での日々は、
私にとって「新たな自分の強みを発見する場所」だったりします。
中小企業でしか得られない、貴重な経験とは?
箇条書きにしてみますと・・・
●サッカーで言えば、フォワードからゴールキーパーまで、ぜんぶ自分でやる感覚
●自分の強みや資質が、めちゃくちゃクリアに見えてくる。
●この会社を廻しているのは、自分だという感覚がある。
●複数の業務を担当していく中で、自分の適性や得意な分野を、見つけやすい。
●自分の仕事を、自分で決めることができる
中小企業のスピード感
私が中小企業の社員であれば、
社長との距離が近いので、思いついたら、すぐに進言できます。
新しい事業のアイデアなどで、
コストがかからずスタートできるものなら、
その場で「GO!」をもらえる確率が高くなります。
その一方、大企業の場合は時間がかかります。
下から、主任、係長、課長、次長、部長、役員という順番で
それぞれの関所で承認を貰う必要があり、
最終決済を貰うまで、三億光年くらいの時間がかかります。
(冗談です、本当は数ヶ月くらいです)
さらに、大企業の場合、
事前に根回しをしておかないと、利害関係者からの横ヤリがはいって、
途中でアイデアが「骨抜き」にされて、
どこにでもある、無味無臭な事業プランになったり、
プラン自体が途中で消滅する可能性もあります。
一方、小さい会社ではこういったことはありません。
いきなり社長にかけ合えることも多く、
こうした社内承認までの時間が、短く済みます。
中小ベンチャーにおける社内調整の時間は、あまり意味のない時間です。
このスタートまでの検討時間を短縮化することが、
事業の早期実現につながると私は思います。
「主人公は自分だ」というリアルな感覚
中小の会社は人不足のことが多いため、
いい意味で「なんでも」やらなければなりません。
そのため、さまざまな場面において、自分が主役になることができます。
ただ、その分、失敗や苦労も多いのですが、
仕事を通じて学ぶ機会が多く、すべてが貴重な経験になります。
一方、大企業では、
自分の専門領域の枠内でしか、仕事できないことも多くなりますし、
個人が主役になれることは、ほとんどないと言っても良いかもしれません。
中小企業の基本は、自分で判断し、動かす
大企業では、権限も責任の範囲も、ほぼ決まっています。
組織が大きいため、運用するためのルールが明確です。
しかし、中小ベンチャー企業では、そのあたりは、結構あやふやです。
中小ベンチャー企業では、複数の業務を兼任することも多く、
時には、現場を知っている自分の判断が、
そのまま会社全体の判断基準になったりします。
責任が重い仕事ですが、そうした現場での経験が
人を大きく成長させることは、間違いないと思います。
大企業の中で、誰かの下で価値を生み出すというのではなく、
中小企業の中で、自分自身が主体者となって、
価値を出そうとする姿勢・経験が、大きな成長につながるのだと思います。
大企業経験者の勘違い
ビジネスにおいて「大企業の看板=信用度・ブランド」は、かなり強力です。
看板がないと、担当者に会ってもらえないことも多々あります。
大企業で働いている人の、よくある勘違い例は、
「自分はこんなに有名な会社と取引をしている、こんな自分って偉い」というものです。
大企業の中にいるからこそ、回ってくる仕事・できる仕事も少なくありません。
しかし、大企業に所属しているというステータス、プライドが、
必要以上に自分を過大評価させてしまう部分は、少なからず、あると思います。
例えば、大企業経験者が中小企業に転職すると、実力不足で全く活躍できないといわれます。
それまで専門的な仕事、部分的な仕事しか担当して来なかった
(というか、担当させてもらえなかった)ため、
対応できる業務範囲が狭いというのが、主な理由です。
中小企業は、自ら考え、行動し、結果を出す
一方、小さな会社は「会社の看板」が存在しないので、最初は苦労するかもしれません。
営業に行っても、門前払いされる。
取引先から値引き要請や、無理難題を言われる。
・・・なんてことは日常茶飯事です。
そうした中でも、結果を出す必要がありますので、
どうするかというと「知恵を絞って、自社の強みを打ち出す」ことに注力します。
大手がやらないニッチに活路を見出すのも、
小さな会社ならではの良さだと思います。
例えば法人営業であれば、
・とにかく数多くの客先に行く
・同時に効率良く回る方法を考える
・他社がやらない分野へチャレンジする
・・・といったように、
「会社の看板」ではなく「自分の知恵」で勝負することを覚えます。
これを繰り返すと、個人の「考える力」がどんどん鍛えられてくるので、
人に決められた仕事しかやってこなかった大企業の人との実力差は、どんどん開いていきます。
そのまま数年も経過すれば、圧倒的な実力差となります。
さて、話は変わって2020年の現在、
コロナウイルスによる日本経済のさらなる落ち込みが心配されています。
今後の状況によっては、大企業であっても倒産リスクがありますし、
倒産とはいかないまでも、自分が所属する部署が
事業から撤退した時に、転職に苦労したり、
想定していたキャリアプランが崩壊するリスクがあります。
20代など、まだ、年齢が若ければ、業界を変えるなどして転職できますが、
45歳を超えて、特別なスキルも無く、
早期退職制度を利用して、大企業を退職した場合、
その後には、かなり厳しい人生が待っていると予想されます。
大企業は巨大タンカーで、中小企業はモーターボート
大企業は大きく、動きもゆっくりで、
方向転換にも時間がかかる巨大なタンカーです。
巨大で安定しているので、
少々の波ではビクともしません、
沈みません。
一方、中小企業はモーターボートです。
小回りが利いて、スピードも速い。
何よりも、市場の風をモロに受けて、
成長スピードを、体で感じることができます。
それこそが、中小企業ではたらくメリットです。
今、この瞬間を生きているという「リアルな感覚」です。
「情報」は会社に蓄積され、「経験」は個人に蓄積される
転職10回の私が、会社を代わるたびに意識しているのは、まさにこの部分です。
私が現場で難問に直面し、そこで考え、悩み、行動し、突破した実体験は、
私個人に蓄積され、時間の経過と共に「血肉化」することとなります。
それが、私に身についた、本物のスキルとなっていきます。
- 血肉化(けつにくか)
- 1.知識・思想・技芸などを自分のものとして、取り込むこと。
- 2.肉体の一部のようになり、完全に身についた状態のこと。
さいごに・・・中小企業で自分の宝をさがす
さて、長くなりましたが、
今、私が思うことは・・・
企業の規模に関わらず、
「そこで何を経験し、何を武器として積み上げていくのか?」
それこそが、
「次代を生きるための必須スキル」だと思います。
さらに、中小企業で働く際のポイントとしては、
「仕事を通じて、個人で価値を生み出し続ける」こと。
これを意識し続ける限り、
成長し続けることが出来ると思います。
そんな中小企業の現場とは、
自分を鍛えるには最高のフィールドだと思います。
改めて、本日の記事タイトルに戻りますが・・・
中小企業で働くことを決めたあなたは、
カオスの海に、深くもぐって、
「メリット」と「やりがい」と「面白さ」という名の
真珠をさがす、ダイバーのようなものです。
あなたには、ぜひ、自分だけの宝を見つけていただきたいと思います。
本日も最後まで読んで頂き、有難うございました。