【終身雇用】新卒から定年まで働いた人に聴く、長く働く秘訣とは?
皆さんこんにちは。
昨日のテーマは「自分探し」でしたが、似た言葉で「自己分析」という言葉もあります。
今日は何か、ちょっと本物っぽい感じがしますね。
さて、この自己分析という言葉は、大学生活でよく使われる言葉です。
何の場面で使われるかと言うと、ご存知の通り、就職活動です。
大学4年で就職活動を行うにあたって、
自分がどんな人間なのか?
どういう仕事を探しているのか?
どんな業界に興味を持っているのか?
など、行動の軸を定める必要があります。
そのときに必ず出てくるのが、自己分析です。
いよいよ就職活動をするにあたり、自分が何をやってきたのか?
また、これから社会に出る上で、自分は何をやっていきたいのか?
それを振り返って考える大事な時間・・・それが自己分析です。
大学の就職ガイダンスでは、
盛んに「自己分析をして、自分自身のことをよく考えてみよう」と指導されます。
しかし、この自己分析という言葉、とてもやっかいなものです。
そもそも、大学生にとって「就職=社会に出る」ということは、
「未知の世界へ踏み出すこと」だからです。
自分がやりたいことなんて、特に無い
そのとき、大学4年生になって、初めて気がつきます。
「自分がやりたいことなんて、特に無い」ことに。
でも、そのままでは就職活動を開始することができません。
面接で「やりたいことは特にありません」と本音を言ったら、
間違いなく不合格になるからです。
相手が変わり者の社長さんなら合格でしょうが、
大企業の面接では、ほぼ不合格になります。(笑)
結果として、気がつくと、無理やり
「ツギハギだらけの自分」をこしらえることになります。
「私はアルバイトを通じて、サービス業のおもてなしの精神を学びました」
「大学のクラブ活動に力を入れていました、優勝したこともあります」
「スポーツのサークルで、キャプテンをやった経験があります」
など、気がつけば、みんな何かしらの分野で、
素晴らしい実績を上げていることになっています。(笑)
大学生というだけでは、ライバルと差別化が出来ないから、
大学内外の組織で、「リーダーをやっていた」
ということをアピールするケースも多く見られます。
いつのまにか、エントリーした就活生の全員が、
何らかのリーダー経験者だったりします。(笑)
自分が何をやりたいのか?
さて、話を「やりたいこと」に戻します。
社会人になった時点で、
自分が何をやりたいのかを分かっている人は、実はあまりいません。
それが分かっているなら、誰も苦労しません。
それからすると、面接に受かる為だけの、
「見せかけの自己分析」が不要だとは言い切れませんが、
ちょっとなんか微妙な感じです。
自分が何をやりたいのか?
自分が何に向いているのか?
それが分からないから、とりあえず会社へ入る
それが自然な流れだと私は思います。
ちなみに、大学4年生に考えていた将来のやりたいことと、
10年後に自分がやっていることが
「寸分たがわず同じだった」
「まったく変わらない」
という人には、今まで出会ったことがありません。
それは当然のことで、経済状況が変化するからです。
10年前と今とでは、社会の状況、テクノロジーの進化など、ビジネス環境が違います。
●PCが無かった時代と、いま。
●携帯電話が無かった時代と、いま。
●スマートフォンが無かった時代と、いま。
10年も経てば、状況は一変し、前提条件もルールも全く変わっているでしょう。
だから、やりたいことが変わって当然ですし、変わらなかったら
逆に進歩、成長していないといえるのではないかと思います。
やりたいことが見つからないからと言って、別に不幸じゃない
さて、では、実際に会社に入ったら、やりたいことが見つかるのか?
それは、分かりません。(笑)
ただ、誤解されないようにお伝えしておきますが、
仮にやりたいことが見つからないからと言って、別に不幸じゃないと思います。
もう一度、言いますが、
会社から言われたことを真面目にこなし、
その中で生きていくことは、それなりに幸せな人生だと思います。
「それなりに」ということは、
「可もなく不可もなく」という無難な人生という意味・・・ではありません。
なぜなら、そこに「不可」はありません。
結果的に「可しか」残っていないからです。
「可」だけしか無いならば、もう充分に幸せな人生だと思います。
もし、その本人が、会社生活に対して何十年も、疑問も抱かず、
独立もせず、他社からの引き抜きの誘惑にも負けず、
ずっと同じ会社に居続けられたら、とても立派なことだと私は思います。
ある定年退職者のはなし
さて、ちょっと視点を変えます。
私が面談した方で、実際に、新卒で入った会社で60歳の定年を迎えられ、
その会社を退職されて、そのままベンチャー企業の監査役になられた方がいらっしゃいます。
その時、私は聞きました。
『あなたは、県内有数の進学校から、現役で東大に合格され、
そのまま日本有数の大企業に入られて、無事に定年を迎えられました。
私のような一般人からみたら、あなたはまさに、人が羨ましがるくらいの
日本を代表するエリート・サラリーマン人生だと思います。
そこで、ぜひ教えて頂きたいことがあります。
最初に入った会社で、そのまま定年を迎えられた秘訣って、何でしょうか?』
それまで和やかだったその方の表情が、サッと変わるのが分かりました。
私は「余計なことを聞いてしまった」と思いましたが、
言ってしまったものはしょうがありません。
しばらくの沈黙の後、その方が、口を開かれました。
同じ会社で働き続ける秘訣ですか?
同じ会社で働き続ける秘訣ですか?
それは一つしかありません。
我慢です。
何があっても我慢。
とにかく我慢することです。
それが出来れば、定年まで同じ会社で働き続けることができます。
私の人生のほとんどは、家族を養うために、ひたすら我慢することでした。
だから、定年を迎え、子供たちも独立したので、
これから自分の人生を生きたいと思っています。
それと、退職金もちゃんと出ます。
若い頃からこれまで、約40年間、我慢してきた「我慢料」だと思っています。
自分の「我慢」がお金に換算されるって、不思議な感じですけどね。
あと、私がこのベンチャー企業の監査役に惹かれたのは、
報酬ではありません。
明日、私が死んだら、自分が生きた痕跡が
何も残らないという「怖さ」です。
私の死が、これから先、何年後か、何十年後か、
いつ来るかは分かりません。
でもその時、私が死んだら、葬儀には身内、親戚、同級生、
仕事仲間が参列して、本当にあっさり終わるでしょう。
葬儀が終わってしまえば、いつもの日常が待っています。
そして、火葬場で燃やされて、灰になってしまえば、
私が生きていた痕跡なんて、どこにも残らないんです。
これが作家や芸術家であれば、作品が残りますが、
サラリーマンだった私には、何もありません。
会社は会社、私は私。
いったん辞めてしまえば、もう、何の関係もありません。
あなたは先ほどエリートだと言われましたが、
私はエリートじゃありません。
本当に、何の取り柄も無い、ただの路傍の石だと思っています。
でも石は石なりに、自分の人生に対して
「落とし前をつけたい」と思ったのです。
だから、まだ社歴の浅いベンチャー企業で、
これから未来がある若い経営者に対して、
自分が経験したことをすべて伝えたいと思いました。
そうすれば、
「自分がやってきたことは間違いじゃなかった」
「自分が生まれてきたことにも、少しは意味があった」
と思えるような気がしたのです。
お金は要りません、本当にタダでも結構です。
もし、会社の規程でそれが駄目なら、
交通費だけで結構ですから。
今の私は、どうせなら、
誰かの役に立ちたい、本当にそれだけです。
つい、話が長くなってしまい、すいません。
先ほどの質問、定年まで
長く働くための秘訣・・・でしたよね?
はい、繰り返しになりますが、
それは・・・「我慢」です。