仕事を通じて自分の成長を実感した人のエピソード
皆さん、こんにちは。
さて、いきなりの質問ですが、
あなたは今、自分がやりたい仕事をやっていますか?
本日は、視点を変えて、物事を客観視するというテーマです。
まず、私から一つ質問させてください。
「世の中にはあなたによって成し遂げられることを待っている仕事がある」
・・・という視点を持ったことはありますか?
他の誰かではなく、あなたが来るのを待っている仕事がある、という話です。
転職エージェントである私は、多くの方と面談し、過去の職歴を聞きます。
その時に、結構な数の方が「仕事のハードルを越えた話」をされます。
誰しも「こんな仕事を続けていて、何の意味があるのか?」と、
思うときがあるようです。
それらを突破して、初めて自分の得意分野や適性、
仕事の進め方を学ぶのではないか?とよく思います。
以下は、私が面談した男性から聞いたエピソードです。
これは、要するに「プロとして一皮向けた瞬間」の話です。
(内容は適当にぼかしています)
何回も辞めようと思いました
当時の私は営業職でした。
転職サイトの中途募集の記事では、コンサルティング営業という触れ込みでしたが、
入ってみたら、それは嘘で、単なる飛込み営業でした。
「個人目標」という名の「個人ノルマ」に追われつつ、
上司には「良い報告しか、しちゃいけない」という
会社の「裏ルール」がありました。
やっていたことは、本当に毎日、毎日、知らない会社のドアをノックする、
泥臭い飛び込み営業です。
営業成績は18人中の9位、本当に真ん中でした。
単に根性がなかったのです
同期入社の仲間は「こんな仕事やってられるか!」と言って、
さっさと辞めていった人もいます。
確かにその時はキツかったし、何回も辞めようと思いましたが、
当時の私には言い出す勇気が無かったのです。
タンカを切って、堂々と自分の意見を言えるほどの成績じゃなかったので、
そこで辞めたら、誰の目にも「逃げた」としか映りません。
「責任感とか、負けたくない、見返してやる」とか、
前向きな理由で続けたのではなく、単に根性がなかったのです。
「このまま同じような仕事を続けて、何になるんだ?」
自分でもそう思っていたタイミングで、あることが起こりました。
クビを覚悟しました
その時は、たまたまインフルエンザで会社を一週間ほど休んでいて、
復帰したその日の夕方に、上司から個人面談を言い渡されました。
私が、まるまる一週間やすんでいたからです。
「スキルアップ研修という名の説教タイム」です。
拒否はできません。
同僚には何も告げず、時間になって、会議室に入りました。
私の上司は、先に入っていて、
私に背を向けた格好で窓際に立ち、窓の外を眺めていました。
そのうしろ姿を見て「ああ、これから自分にとっていやなことが起こる」と確信しました。
正直なところ、その瞬間、クビを覚悟しました。
振り返った上司と私は、お互いの顔を見て、椅子に座り、テーブル越しに向き合いました。
先に口を開いたのは上司です。
「体調はどうだ?」とか、
「●●くんとは、仲良くやっているようだね」とか、当たりさわりの無い話をされました。
なんか、わざと、どうでもいい話をされているように感じました。
なんか、わざと、はぐらかされているような気がしました。
向こうはもう、決定的なカードをもっているくせに、わざと出さない感じです。
やや、じれったさを感じていたその時、本題に入りました。
クビではなく、部署異動の話でした
異動先での新しい仕事とは、新規事業の担当です。
3ヶ月後の4月から新設される部署で、まだ本決まりではないが、
取締役会では、ほぼ確定ということでした。
私は勝手に「クビかも?」とか、悪いことしか考えていなかったので、
拍子抜けしつつ、とりあえずホッとしました。
ただ、「何をやるのか?」が気になり、さらに話を聞きました。
直販ではなく、代理店を使って新しいサービスを販売するという代理店営業の担当者です。
既存の市場ではなく、新たな販売チャネルなので、知識も、何のツテもありません。
サラリーマンである私には、会社の決定に逆らうことも無く、
異動を拒否する理由もなく、結局、私はその担当になりました。
なぜ私が選ばれたのか、理由は分かりません。
当時、会社は儲かっていました。
本業は若い兵隊たちが頑張って、儲かっている。
だからその間に、新規事業に投資して、次のメシの種を育てようという考えです。
まあ、今思えば、普通によくあるパターンですよね。(笑)
例えば、ある不動産会社が本業で儲かったので、次に飲食業をやり始める、
で、甘く考えすぎて大失敗する、あのパターンと同じです。(笑)
その新規事業は、うまくいきました
結論から先に言うと、その新規事業は、うまくいきました。
私の実力ではありません、
市場にサービスを投入するタイミングが、ちょっとだけ早かったからです。
社長に先見性があったのだと思います。
それまでの広い大部屋のオフィスから、狭い部屋へと変わり、
違う会社で働いているような気がしました。
新サービスが決まり、ターゲット市場も決まり、
販売スキームも練り直し、営業資料も作りました。
自分でアポイントを取り、業者向け説明会を行い、
契約書の事務処理も自分でやりました。
それまで新規事業なんかやったことがありませんでしたから、何から何まで自分で勉強しました。
学生の頃、もっと真面目に勉強しておけば良かったと思ったのも、あの時です。(笑)
逃げるという決断が出来なかったことで
新しい上司は別の部署から配属された40代後半の男性で、私は20代の後半でした。
顔は見たことがありますが、一緒に仕事をしたことはありません。
20才も離れているので、すべて私がやらないといけない「奴隷の関係」です。(笑)
でも、振り返ってみると、あの時が一番、自分が成長したのだと思います。
もともとは、自分が望んでいた仕事ではなく、
他人に振られた、会社の命令でやらされた仕事でした。
結果的に、その新規事業の成功があって、私の評価もあがりました。
私はあの時、逃げるという決断が出来なかったことで、
ぎりぎりでチャンスをモノにしました。
その仕事を通じて、仕事における達成感というものを、初めて経験しました。
「オレの仕事だ」と人に言えるような、
プロとしてやっていける自信がついたのだと思います。
まさに、私を大人にしてくれた、貴重な体験です。
それまでは、単なる平凡な営業マンだったくせに、
辞める勇気が無かっただけで、たまたま新規事業担当となり、
結果的に、同期では一番早く昇進できました。
入社当初の、飛び込み営業の日々は、
辛くしんどい時期でしたが、ぎりぎりで持ちこたえました。
新規事業は「飛び込みと比べたら全然、楽勝」でした。
ベテランじゃないと務まらない仕事
勿論、ストレスはありますし、
上司は指示するだけで、いつもゴルフ雑誌を読んでいました。
彼は、ほぼ毎日、仕事が終われば酒を飲んでいたような、だらしないオッサンです。(笑)
ただ、私がミスをした時は、違う人格に変わります。
真っ先に客先を訪問し、相手に謝罪し、すべて処理してくれました。
そのクレームのおさめ方が、また絶妙に上手いのです。
ご本人の憎めないキャラクターもあって、名人芸のようでした。
「ベテランじゃないと務まらない仕事って、あるんだ」と妙に感心した覚えがあります。
新規事業ということで、
初期導入時のトラブルが多いことを想定して、
クレーム処理が上手い彼を、会社が人選したのだと気づきました。
でも、何より幸運だったのは、社内の誰もやったことがない事業だったことです。
「失敗して当たり前、成功したら凄い」という空気がありましたので、
私自身も開き直っていました。
別に自分から手を挙げたわけじゃないので、
失敗しても、最悪、クビにはならないと思っていました。
だから、余計に、大胆に、自分の裁量で仕事ができたのだと思います。
部署の人数も売上げに比例して、徐々に増えていきました。
スタートの翌年には黒字化し、ちゃんと一つの部署として、認めてもらえるようになりました。
自分の「適性」に気づきました
それまでの飛び込み直販営業と、新規代理店営業という、
その二つの仕事を通じて、両方ともしんどい場面の連続だけど、
「しんどさの質が違う」ということを学びました。
自分で数字を上げることの大変さ、
人を動かして数字を上げることの大変さ、両方とも大変です。
ただ、たまたまですが、私は人を教育し、代理店経由で、
後方からサポートしながら数字を上げる方が、
自分に向いているのだと思いました。
そこで、生まれて初めて 自分の「適性」に気づきました。
自分の原点に戻る
私が担当したその事業は、形を少し変えていますが、今でも継続しています。
当時、業界の新聞に取り上げられた記事は、未だに捨てられず、持っています。(笑)
なんか、自分にとっての「お守り」みたいな感じです。
仕事で迷ったり、なんかあったときに、ふとその新聞をみることがあります。
その時々で、感じることは違いますが、自分の原点に戻るような感じです。
私にとって、卒業アルバムを見るような感覚です。
「あれがキッカケで、自分の人生は良い方に変わった、
状況は、常にフラットであり、良くも悪くも、中立的なもの。
そこにネガティブな意味を、植え付けないこと」
「あれを乗り越えたなら、今回もきっと乗り越えられる」
逃げずに、ギリギリで持ちこたえることで、人は鍛えられる
・・・再び、まるきんです。
この方と同じような経験をされたことがある方って、
実は結構、多いのではないでしょうか?
自分が想定していなかった仕事が突然、降って湧いて、
そこを何とか乗り切った人は多いと思います。
会社で働くということは、必ずしも自分がやりたい仕事ばかりを担当できるとは限りません。
全く未経験の、自分が望んでいない仕事をやらなければならないことは多いはずです。
そこで逃げずに、ギリギリで持ちこたえることで、人は鍛えられる。
言い換えると、自分が望んだ仕事=ホームゲームよりも、
他人に頼まれた仕事=アウェイ環境の方が、
その人を成長させることがある、ということだと思います。
未来の視点から、現在のあなたを見た光景
冒頭の話に戻ります。
「世の中にはあなたによって成し遂げられることを待っている仕事がある」
これは、未来の視点から、現在のあなたを見た光景です。
あなたには今の状況しか見えない為、
目の前の仕事が単調で、つまらなく感じるかもしれません。
毎日、いつ辞めようか、いつ辞めようか、そればかり考えている人もいるかもしれません。
あくまで私個人の考えですが、
仕事の本質とは「他人の期待値を上回ること」だと思います。
どの業界、どの職種でも同じで、
サッカー選手だろうが、サラリーマンだろうが変わりません。
ただ、日々の生活では、目の前のことしか見えない為、
時には無意味に感じるかもしれません。
でも、逃げずに「他人の期待に応えること」に全力で取組むことで、
突破口が見出せる場合もあると思います。
何より「自分が流した汗は嘘をつかない」からです。
ただ、仕事を辞めたいと思ったら、
その自分の気持ちに対しては、正直になって良いと思います。
人は誰かの為に働いているのではなく、自分自身の為に働いているのですから。
自分を大きく成長させるステージの途中
辞めるのは本当に簡単です。
ただその時、あまり感情的になりすぎず、
「今の仕事を通じて、自分が何を学んでいるのか?」
と一呼吸置いて、考えてみる方が良いと思います。
もしかしたら、自分を大きく成長させるステージの途中ということも、充分にあると思います。
今のあなたからは、ギリギリで見えないくらいの、ほんのちょっと先の未来に、
大きな成長と、達成感が待っている・・・かもしれませんから。
本日も最後まで読んで頂き、有難うございました。