名著「ワークシフト」紙芝居⑤自分にとってなにが大切かを理解する

★ 2025年 働き方の未来を変える
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【 運営者から皆さんへ 】
2025年の未来社会を予測した名著「ワークシフト」を紙しばい形式でまとめました。

なるべくPC経由でアクセスして頂き、デスクトップ等にPDF資料をダウンロード、
それをサクサクと読み進めていけば、未来が見えるはずです。

(スマートフォンだと、画面小さすぎて難しいかもしれません)

あなたが、今からどんな準備をするべきか、それも分かるはずです。
「あと5年ある」か、「たった5年しかない」か
・・・どう感じるかは、あなた次第です。

by まるきん

第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々

【 第5章 コ・クリエーションの未来 】

この2025年の1日、世界のいたるところで、

人々が互いに協力しながら問題解決に取り組んでいる。

そういう状況はどうして生まれるのか。

 

一つには、本書でこれまで触れてきた5つの要因が生み出す

数々の課題を解決するために、昔とは比較にならないほど

高度なイノベーションと創造性が必要になるからだ。

 

昔と変わるのは、課題の難易度だけではない。

イノベーションの性格も変わる

イノベーションは、特定のグループなり、企業なり、政府なりが単独で行うものではなく

コラボレーション的・ソーシャル的性格がきわめて強くなり、

多くの人の努力が積み重なって実現するものになる。

 

異なる専門技能や世界観、意見をもつ人たちがアイデアを共有し

それを発展させていくケースが増えるのである。

1950年代、工場が大量生産(マス・プロダクション)を実現し、

それが大量消費(マス・コンサンプション)社会の到来に道を開いた。

2025年の世界では、インターネットなどのテクノロジーの力により、

イノベーションと創造が「マス(大量)」型の活動に変わる。

大勢の人がそのプロセスに参加するようになるのだ。

「思考の余剰」を手にした世界中の人々が毎日何十億時間もの時間を捧げ、

互いの専門技能とアイデアを持ち寄って、大きな課題を成し遂げる時代がやってくるのである。

 

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コ・クリエーションが活発化する前の時代 1990年の一日

1990年代、社会の主役に躍り出ようとしていた世代は、

第二次世界大戦の爪痕が残る1950年代に生まれたベビーブーム世代だ。

この世代は同世代の人口が非常に多いので、他人と競争することが当然だと思って育ってきた。

また、この世代は消費することを習慣づけられて育った世代でもある。

 

大量消費時代の扉を開き、モノを所有することが人々の心理のなかで

きわめて大きな意味を持つ社会を作り出したのは、ベビーブーム世代だった。

1990年、ベビーブーム世代は40歳代半ばで、仕事の世界の多数派になっていた。

 

この世代の志向や希望が次第に仕事のあり方を形づくり始めていた。

当時は、株主価値と市場に力の重要性を強調する経済理論が全盛の時代

人間はもっぱら私利私欲に突き動かされた行動をするものと考えられていた。

私たちは自分にとって最も得になる行動を取り、

ほかの人たちのニーズをほとんど考慮しない、というわけだ。

この考え方を前提にすれば当然、企業はアメとムチの原理で社員の行動を管理しようとする。

 

1990年当時、当然、そういう企業で働いていた人たちは、

アメとムチのことばかり考え、競争し、勝利することにもっぱら関心があった。

戦争による荒廃の中であらゆる不安が噴出した世代に育ったことを考えれば、

ベビーブーム世代の間でこのような発想が主流になったのは意外ではない。

 

それに、同世代の人口がきわめて多いので、

この世代は他人を蹴落として競争に勝ち抜くことを当たり前と感じるようになった。

そういう発想は学校教育の現場で子供たちの心理に植えつけられ、

企業で社員同士がいわば勝ち抜き戦形式で

出世を競い合う仕組みを通じてさらに強化された。

 

弱肉強食の世界だ。

トップに立つために懸命に努力を重ね、

自分を社内のライバルより光り輝かせる必要があった。

自分の人生にとって最も重要な人物は、直属の上司とその上司たち。

出世の階段を上るために最も重要なのは、上司のご機嫌を取ることだった。

 

与えられる社用車の車種、個人用オフィスの広さ、専属秘書の権限の大きさによって、

社内での地位をはっきりと思い知らされた。

 

コ・クリエーションを実践するためにはほかの人と手を携えることは、

テクノロジーの面でまだ難しかっただけでなく、

競争心の強いベビーブーム世代にはそもそも縁遠い考え方だったのである。

 

2025年の世界は、人と人との協力関係を原動力に動く世界になる可能性がある。

ベビーブーム世代の競争志向の発想は、新しい世代の協力志向の発想に取って代わられる

それを後押しするのはテクノロジーの進化とグローバル化の進展だ。

 

人々が互いに結びつき、協力し合い、アイデアや知識を共有するようになる。

この変化は働き方の未来に大きな影響を及ぼす。

孤立したまま競争に血道をあげるのではなく、

ほかの人たちと連携し協力しながらイノベーションを成し遂げる必要性が高まるのだ。

コ・クリエーションの未来を生み出す要因

世界中の50億人を超す人々が結びつけば、

イノセンティブのような場を活用することにより、

世界中の人々の想像力と創造力を生かしやすくなる。

 

また、世界のほとんどの書籍がデジタル化されて、

しかも無料で読めるようになれば、誰もが利用できる知識基盤が整備され、

貧しい家庭に生まれた子供たちの未来の可能性が大きく広がる。

 

世界の人々が漫然とテレビを見て過ごす代わりに、

「ソーシャルな」活動に積極的に参加するようになる可能性もある。

 

新しいテクノロジーのおかげで時間に余裕ができれば、

余暇時間に思考力と創造性を発揮して、

持続可能性を重んじる文化を築こうとする動きが活発になるかもしれない。

 

フェイスブックなどのSNSは、コミュニケーションサービスを充実させ続け、

人々がコミュニケーションを取り合うための重要な場となっている。

インターネット利用環境が整えば、才能とやる気のある子供は、

人類共通の知識基盤を利用して学習することができるようになる。

もちろん、全てがその恩恵を生かせるわけではない。

 

親が子供の学習を支援しなかったり

勉強以外の活動をしいたりする場合もあるだろう。

勉強好きな子供が同世代の子供たちに馬鹿にされたり、

継続的に教育を受けられないケースもあるだろう。

 

それでもインターネットを利用できるようになれば、

大勢の子供たちの人生が大きく変わることは間違いない。

子供たちがインターネットを通じて学習できる環境をつくる取り組みに

早い段階で着手した国や地域は、2030年以降、

グローバルな人材市場で活躍できる有能な人材を続々と生み出し始めるだろう。

 

一方、インターネット利用環境が十分でない地域で働く人たちは、

きわめて不利な状況に置かれる。

グローバルな人材市場で自分の能力に見合った仕事を得にくくなったり、

グローバルなプロジェクトチームに加わって

ほかの土地に住む人たちと一緒に働くことも難しくなる。

そういう人たちの子供は、グローバルな人材市場に加わることがいっそう困難になる。

「ソーシャル」な参加の活発化-テクノロジーの要因

未来の世界で人々が才能を開花させるのを助けるのは、

電子図書館やオンライン学習プログラムだけではない。

ユーザーがインターネット上に作り出すコンテンツも大きな役割を果たす。

ユーザーが作り出したコンテンツの代表格の一つは、

オンライン百科事典のウィキペディアだ。

 

2001年に誕生し、8年後の2009年には、

200の言語で1300万本の記事が書かれるまでに成長した。

ウィキペディアは「地球上の全ての人に対して、可能な限り最も上質な百科事典を、

その人の母国語で、しかも無償で提供すること」を目指している。

大勢の人々が結びついて、集積効果を生み出すようになった結果、

専門家より正しい判断を下せる「賢い群衆」が誕生し、

世界の最も優れたアイデアを結集させるオープンソース運動が実現するようになった。

 

それにともない、古いヒエラルキーが崩れ始めた。

未来の世界では、対等の関係の人間同士が協力して仕事を進めるケースが増え、

世界が抱える課題を解決する上で集合知の重要性がもっと評価されるようになるだろう。

 

アメリカの物理学者フィリップアンダーソンの有名な言葉を借りれば

「量は質の変化を生み出す」

世界の50億人が結びつき、能動的に活動すれば、

過去の延長線上にない画期的なアイデアが誕生し、集積効果を通じて、

新しいものごとの創造と共有が前例のないレベルまで進む。

 

さまざまな新しいテクノロジーを駆使して人々が結びつけば、新しい機会が生み出されるだろう。

都会から遠く離れた土地で金融サービスを利用しやすくなったり、

地理的な距離の壁を乗り越えたオンライン学習が実現したり、

まったく面識のない人同士の間でビジネスが成立したりする。

【 第6章 積極的に社会と関わる未来 】

1990年には、先進国の国民でも休暇に海外旅行に出かける人は少数派だった。

アメリカ人の中でパスポートを持っている人はごく一部にすぎず、

ヨーロッパでも海外旅行はお金がかかりすぎた

グローバル思考より、ローカル思考が当たり前だったのである。

 

その点では、企業もおおむね同じだった。

エレクトロニクス製品のフィリップス、食品のネスレやコカコーラ、

自動車のトヨタのような大企業は、本国以外に工場を設けてはいたものの、

本社との交流は乏しかった

 

本社のマネージャーがときおり「海外出張」して国外拠点を視察し、

場合によっては将来有望な幹部候補生が派遣されて赴任することもあったが

「海外業務」の経験を持つマネージャーは社内でほんの一握りに過ぎなかった。

1990年の世界では、国籍や経験、ものの考え方が

自分と似通った人たちと一緒に

人生のほとんどの時間を過ごす人が多数派だった。

 

しかもパソコンを持っている人がごく一部に限られていて、

インターネットを利用できる人はそれに輪をかけて少なかった。

2025年の世界では、共感の精神に目覚めて、社会貢献のために

自分の時間を捧げようとする人が何百万人も現れる。

 

オンライン上に学習素材を公開する活動に

自分の時間と専門技能を生かそうとする人もいるだろう。

世界の人々を教え導いたり、相談に乗ったりする活動に取り組む人や、

特定のテーマで政府や企業の行動を変えさせるための

ロビー活動に打ち込む人もいるだろう。

 

一言で言えば、人々の共感の精神が高まり、

家族や身近な人たちだけでなく、国籍や文化が異なり、

一度も会ったことがない人たちの力になろうとする人が増える。

愛情と仲間意識と社交性と共感が人間の基本的な性質になっていくのだ。

積極的に社会と関わる未来を生み出す要因

どういう要素を人生で優先させたいかは、一人ひとり違う。

あなたの選択は、あなた自身のニーズに沿って行えばいい。

職業生活でなにを望むのか?

それを実現するために、どのような代償を覚悟するのか?

 

こうした点を誰もが真剣に考えなくてはならない

これは未来に押しつぶされない職業生活を築くための

<第三のシフト>を行う第一歩だ。

 

今後数十年の間に、働く女性たちの生き方が

世界中で大きく様変わりする可能性が高い。

1950年頃に生まれた私たちの世代は、

女性が男性と肩を並べて働くことが夢でなくなった最初の世代だ。

 

私たちはフロンティアの開拓者さながらに、

地図のない土地に足を踏み入れ、結婚と家庭と仕事の変化に合せて、

自分自身の人生に対する願望や自我の意識を変えてきた。

 

 

ビジネススクールのMBA課程で学ぶ学生を教えていて感じることだが、

今の若い女性たちは自分に幅広い選択肢が開けていると考えていて、

自分が仕事の世界に大きく貢献できると自負している。

 

こうした様々な要因により、2025年には、

企業で高い地位に就く女性が目覚しく増えているだろう。

幹部職の半分を女性が占める企業も出てくるはずだ。

 

企業のトップに立つ女性が多くなれば、

若い女性にとって人生のお手本となりうる人物が大幅に増える。

画一的な人生の道のりを歩むのではなく、

自分なりにカスタマイズした人生を送るチャンスも広がる。

 

女性トップの中には、自分の生き方を通じて、

家庭での役割を十分に果たすことを前提に

働き方を決めてもいいのだというメッセージを打ち出す人も多いだろう。

 

女性が企業で要職につくにつれて、状況に変化が起きはじめている。

公的な立場における男性優位は弱まり、

女性があいまいで非合理的だというレッテルもはがれつつある。

家事や育児の負担の多くを女性が担うのが当たり前だという風潮も薄らぎ始めた。

 

その結果、多くの企業でマッチョな企業文化が和らぎ、

男性たちは職業生活の中に私生活の要素を持ち込みやすくなる。

今後、私たちの仕事の世界は劇的に変わるだろう。

 

特に、これまでの男女の役割が大きく様変わりするはずだ。

そうした変化を追い風にするためには、

判断力と内省性を身につけることが不可欠だ。

自分にとってなにが本当に大切かを理解し、

その優先順位に沿った職業生活を送るために必要な選択を行わなくてはならない。

【 第7章 ミニ起業家が活躍する未来 】

ミニ起業家たちの「生態系」

2025年には、世界中で何十億人もの人たちがミニ起業家として働き、

ほかのミニ起業家とパートナー関係を結んで、

相互依存しつつ共存共栄していく仕組み

-「エコシステム(生態系)」と呼ばれる-を築くようになる。

 

特定の企業ではなく、こうしたミニ起業家たちのエコシステム

市場の方向性を大きく左右することになる。

長寿化の進行-人口構成の要因

現代の職業生活に起きた最も重要な変化は何かという問いに対して、

経営思想家の故・ピータードラッカーが挙げた答えは、

テクノロジーの進化でもなければ、グローバル化の進展でもなく、

平均余命の目覚しい上昇だった。

 

ドラッカーは、長寿化を21世紀の奇跡と位置づけていた。

1950年代以降、世界の多くの国で寿命が延び続けてきた

 

2010年に生まれた健康な子供の多くは、100歳以上生きると予測されている。

2025年の世界では、引退の時期、高齢者の雇用、年金の支給について

従来の常識が変わり始めるだろう。

 

ドラッカーも言うように、これほどまでに寿命が長くなったことは、

昔を考えればまさに奇跡だ。

西ヨーロッパでは、60年以上生きる男性の割合が

1800年には全体の25%に満たなかったが、

2010年には90%以上に達している。

1800年に60歳といえば老人だったが、

2010年の60歳はまだ中年だ。

 

第一に、あなたは大きな企業の中で働きたいのか、

それとも企業に属さずに自分でビジネスを行いたいのか。

もし会社に雇われない働き方を望むのであれば、

本書で提案する第一と第二の<シフト>を実践し、

たえず専門技能に磨きをかけるのと並行して、

ほかの人たちと連携してイノベーションを推し進める能力を身につけることが不可欠だ。

第二に、あなたは何歳頃まで働きたいのか。

70歳代まで生産的に仕事を続けたいのであれば、

自分のエネルギーを様々な活動にどのように割り振るかが重要になる。

 

第三に、あなたはどこで暮らしたいのか。

グローバル化が進めば、あなたが生活する土地の選択肢は大きく広がる。

世界の様々な地域で、グローバルな市場と結びついて生きることが可能になるからだ

 

<つづく>