名著「ワークシフト」紙芝居②いつも時間に追われ続ける未来

★ 2025年 働き方の未来を変える
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【 運営者から皆さんへ 】
2025年の未来社会を予測した名著「ワークシフト」を紙しばい形式でまとめました。

なるべくPC経由でアクセスして頂き、デスクトップ等にPDF資料をダウンロード、
それをサクサクと読み進めていけば、未来が見えるはずです。

(スマートフォンだと、画面小さすぎて難しいかもしれません)

あなたが、今からどんな準備をするべきか、それも分かるはずです。
「あと5年ある」か、「たった5年しかない」か
・・・どう感じるかは、あなた次第です。

by まるきん

第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実

【 第2章 いつも時間に追われ続ける未来 】

ようこそ、いつも仕事に追われ続ける未来へ!

この未来では、すべての活動が細切れになり、

私たちは世界中の同僚や取引先とやり取りしながら仕事をし、

世界中のライバルと競い合うようになる。

今でも、せわしなく仕事に追われていると感じている人もいるかもしれない。

3分以上腰を据えて一つの活動に専念することさえできない人もいるだろう。

テクノロジーに振り回されていると感じる人もいるはずだ。

しかし2025年には、そんな程度ではすまなくなる

ますますグローバル化が進み、しかもインターネットを介して

世界中の50億人がつながり合うようになって、

1日24時間・週7日休みなしで仕事に追われるのが当たり前になる。

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時間に追われることの弊害

時間の細切れ化が進むと、どういう問題があるのか?

今後ますます仕事の負担が重くなり、

時間に追われるようになると、どのような影響が生じるのか?

あまりに多忙な日々を送るようになると、

一つの物事に集中して取り組むことが難しくなり、

じっくり観察して学習する機会が損なわれる

また、仕事の正解に気まぐれや

遊びの要素が入り込む余地も奪われてしまう。

専門技能を磨きにくくなる

時間に追われるようになると、

真っ先に奪われるのは、物事に集中して取り組む時間だ。

2025年の私たちは、日々のスケジュールがあまりに慌しく

何らかの技能に磨きをかけて専門分野をつくる時間や機会を確保できず、

専門技能の習得に必要な集中力を保つことも難しい。

なんらかの専門技能を磨くためには時間と集中が必要だが

慌しく仕事に追われる日々を送っている私たちには、その両方が欠けている

高度な専門技術を習得した人々

「作曲家、バスケットボール選手、小説家、

アイススケーター、犯罪の達人たち」を調査したところ、

専門分野こそ違っても、すべての人に共通する性質が一つ見出せた

その共通点とは、技能を磨くために

長期間集中して打ち込むことが苦にならないことだった。

ではどれくらい時間をつぎ込めばよいのか

・・・おおむね、1万時間を費やせるかどうかが試金石だとわかった。

1日に3時間割くとしても、10年はかかる。

観察と学習の機会が失われる~

あまりに仕事が忙しくなると、仕事の作業の手を休めて、

自分より高度な技能の持ち主の振る舞いを観察する時間もなくなる。

しかし、自分の技能を高めるためには、達人たちの仕事ぶりを観察し、

自分との細かな違いを知ることが不可欠だ。

高度な専門技能を身につけることは、未来に幸せを手にするために避けて通れない

<第一のシフト>の核をなす要素だ。

しかし、私たちは時間に追われるあまり、

価値ある技能や能力に磨きをかける機会をなくしている。

専門家レベルまで技能を向上させようにも時間がなく、

ほかの人たちの仕事ぶりを注意深く観察できないので、

微妙な暗黙知を学び取れない。

こういう世界で成功するためには、どういう風に時間を使い、

エネルギーと資源を割り振るかという選択が極めて大きな意味を持つ。

「気づいたときには手遅れ」にならないために、

専門技能を身につけるという<シフト>を選択する必要がある。

(まるきん注:【暗黙知:あんもくち】とは
個々人の体験や特定状況に根ざす知識であり、

信念・ものの見方・価値システムといった無形の要素を含む)

気まぐれと遊びの要素が排除される~

ますます時間に追われ、それこそ毎分毎分に

処理すべき課題がぎっしり詰まると、

遊び心や創造性を発揮したり、

気まぐれに身を任せたりする機会がなくなる。

 

結果をすぐに欲しがり、短期間で手っ取り早く

学習しようという発想にどうしても陥る。

時間のゆとりが3分しかなければ、それも無理はない。

時間に追われると気まぐれと遊びの要素が犠牲になる。

 

時間をかけて取り組んで、初めて技能を磨けるものは沢山ある。

報告書の作成、プレゼンの準備、リーダーシップの発揮・・・

いずれも長い時間を費やさなければ、高度な技能は身につかない。

スケジュールが細切れ化し、まとまった時間が取りにくくなれば、

高度な専門技能の習得などできるわけがない。

忙しくなりすぎれば、遊びの要素も失われる

いつも仕事に追われてばかりになると、同僚と冗談を交わす時間が減る。

魅力的だけれど成功の道筋が見えないプロジェクトに挑戦する時間が減る。

遊び心を発揮し、物事を楽しむ時間が減る。

働く喜びをかみ締める時間が減る。

 

また、仕事の世界で機械の導入がますます進めば

仕事と遊びの間の壁がいっそう高くなる。

私たちは一分たりとも時間を無駄にすることが許されず、

100通もの電子メールに返事を書かなければならない。

創造性を刺激し、新しいアイデアを生み出す上で、

遊びが極めて重要であることは古くから知られている。

私たちは仕事を遊びと考えたほうが仕事を愛せる

 

広告やデザインの仕事をしている人たちにとっては、

空想と想像を働かせて遊ぶことがイノベーションの核をなしている。

研究者やコンサルタントが有意義な成果を上げるためには、

遊び心を発揮して問いを発し、その答えを探す姿勢が欠かせない。

「好きなことをして給料が貰えるなんて、最高だ!」

と思える仕事こそ、最高の仕事なのかもしれない。

そういう仕事をしているとき、私たちは新しいアイデアを模索したり、

古いアイデアを新しい方法で組み合わせたりする。

それが「遊び」である。

未来の世界で創造性を発揮する上で最良の方法は間違いなく、

仕事と遊びの境界線をあいまいにすることである。

 

仕事が情熱を燃やせる趣味でもあるとき、

私たちは最も充実した仕事ができる。

 

そして情熱を燃やせる趣味が仕事でもあるとき、

私たちは最も充実した趣味を満喫できる。

 

しかし、時間に余裕がなく、自分のスケジュールを

自分で決めているという実感を持てなければ

これを実践することは難しい。

 

私たちが遊ぶのは、時間と空間にゆとりがあると思っていて、

行動の自由があると感じているときなのだ。

「オフ」の時間なしに「オン」の状態がひたすら続けば、

仕事と遊びの境界線を曖昧にできない。

時間に追われる未来を生む要因

  • 情報通信技術の飛躍的発展—テクノロジーの要因
  • 「クラウド」の進化—テクノロジーの要因
  • バーチャル空間とアバター—テクノロジーの要因
  • 人工知能アシスタントの普及—テクノロジーの要因
  • 1日24時間・週7日休みない世界—グローバル化の要因

時間に追われない未来をつくる

時間に追われる未来を迎えないためには、

三つの<シフト>を成し遂げることが効果的である。

<第一のシフト>

専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと

一つの物事に集中して本腰を入れることが出発点となる。

高度な専門技能は1万時間を費やして初めて身につくという説もある。

専門的な技能に磨きをかけたいと思えば、

慌しい時間の流れに身を任せようという誘惑を断ち切り、

1万時間とは言わないまでも、ある程度まとまった時間を

観察と学習と訓練のために確保する意思を持たなくてはならない

<第二のシフト>

せわしなく時間に追われる生活を脱却しても

必ずしも孤独を味わうわけではないと理解することから始まる。

目指すべきは、自分を中心に据えつつも、

ほかの人たちとの強い関わりを保った働き方を見いだすこと。

私たちが余りに多忙な日々を送らざるをえないのは、

多くの場合、あらゆることを自分でやろうとしすぎるのが原因だ。

 

強力な人的ネットワークを築けなければ、

自分の肩にのしかかる負担をいくらか軽くできるだろう

それに、ほかの人たちとの関わりには、

時間に追われることの弊害を和らげる効果もある。

あなたのことを大切に思い、愛情をいだいてくれる人たちと関わり合って

いわば強力な「自己再生のコミュニティ」をはぐくめれば、

慌しく仕事に追われずに過ごす時間を確保する後押しが得られるからだ。

 

しかし、時間に追われる日々を避けうるうえで

最も有効なのは<第三のシフト>だろう。

消費をひたすら追及する人生を脱却し

情熱的に何かを生み出す人生に転換することである。

ここで問われるのは、どういう職業生活を選ぶのか

そして、思い切った選択を行い、選択の結果を受け入れ

自由な意思に基づいて行動する覚悟ができているのかという点だ。

 

2025年の私たちは、本当に朝の7時や夜の10時に

仕事の電話に出なくてはならないのか。

本当にデスクのコンピュータの前で、

独りぼっちで慌しく昼食をとらなくてはならないのか。

本当に1日に何百通もの電子メールに目を通さなくてはならないのか。

このような問いに、どういう答えを出すのか。

この点は、今後ますます切実な問題になる

 

2025年の世界では、70代になっても働く人が多くなり、

短距離走ではなく、延々とマラソンのように

長い職業人生を送るようになると予想できるからだ。

 

自分で選択して自分の職業生活を形づくる重要性は、今後高まっていく。

1990年、私たちはキャリアに関して

難しい決断を迫られることなどなかった。

当時はテクノロジーの飛躍的進化もグローバル化もまだ始まったばかり。

今にして思えば、のんびりした時代だった。

未来の世界で、いつも時間に追われて生きる状態

「気づかないうちに積み重なる事実」になることを避けるには、

自分が常に強烈なプレッシャーにさらされているという事実を

まず正しく理解しなくてはならない。

その上で、その現実に対処するために、

<第三のシフト>を実践し、物事を深く考えて、

自分の働き方を選ぶことが不可欠だ。

賢明な選択をし、その選択がもたらす結果をはっきり理解し、

未来の私たちが直面するであろうジレンマと向き合う必要がある。

それを抜きにして、テクノロジーの発展とグローバル化に伴い、

高まり続けるプレッシャーから自分を守ることはできない。

 

<つづく>